目次
この記事でわかること
- iDeCoの受け取り方の3種類(年金・一時金・併用)
- 受け取り方によって税金がどう変わるか
- 「一時金」と「年金」どちらが有利なケース
- 退職所得控除・公的年金等控除とiDeCoの関係
- 年収400万円台が受け取り時に損しないための考え方
結論:受け取り方は「一時金+年金の併用」が多くの場合で有利。ただし退職金との兼ね合いで注意が必要
先に結論をお伝えします。 iDeCoの受け取り方は「一時金(退職所得)」「年金(雑所得)」「一時金と年金の併用」の3通りがあります。税制上は退職所得控除を活用できる「一時金」が有利なケースが多いですが、会社の退職金との合算で控除が減るため、状況によって最適解が変わります。受け取り前に税務上のシミュレーションを行うことが損をしないための重要なポイントです。iDeCoの受け取り方3種類
受け取り方1:一時金(退職所得)
積み立てた資産を60歳以降に一括で受け取る方法です。「退職所得」として扱われるため、退職所得控除が適用されます。 退職所得控除の計算(勤続年数または加入年数)- 20年以下:年40万円 × 加入年数(最低80万円)
- 20年超:800万円 + 70万円 × (加入年数 – 20年)
- 退職所得控除額:800万円 + 70万円 × 5年 = 1150万円
- 課税対象:1000万円 – 1150万円 = 0円(控除内に収まる)
受け取り方2:年金(雑所得)
積み立てた資産を5〜20年の確定年金として毎年分割して受け取る方法です。「公的年金等の雑所得」として扱われます。 公的年金等控除(65歳以上の場合)- 年金収入110万円以下:控除額110万円(所得ゼロ)
- 年金収入330万円以下:110万円の控除
受け取り方3:一時金+年金(併用)
一部を一時金で受け取り、残りを年金形式で受け取る方法です。一時金部分に退職所得控除、年金部分に公的年金等控除が分けて適用されます。多くのケースで最も節税効果が高い選択肢です。受け取り方による税金の違い
| 受け取り方 | 税の分類 | 適用控除 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 一時金 | 退職所得 | 退職所得控除 | 加入年数が長いほど控除が大きい |
| 年金 | 雑所得 | 公的年金等控除 | 公的年金と合算して控除計算 |
| 併用 | 両方 | 両方の控除を分けて適用 | 最も節税効果が高いケースが多い |
退職金との兼ね合いで注意すること
同じ年に会社の退職金とiDeCo一時金を受け取る場合
会社からの退職金とiDeCoの一時金を同じ年に受け取ると、退職所得控除を合算して計算するため、控除の恩恵が減少する場合があります。 2022年の税制改正により、iDeCoの一時金を受け取った後5年以内に会社の退職金を受け取ると、重複期間の控除が使えなくなるルールが設けられました(「5年ルール」)。 5年ルールの例- 60歳でiDeCoを一時金受取
- 65歳で定年退職して会社退職金を受取 → 5年超のため問題なし
- 60歳でiDeCoを一時金受取
- 62歳で早期退職して会社退職金を受取 → 5年以内のため、iDeCoの受取分の一部の控除が使えなくなる
年収400万円台・加入年数別の一時金の税負担シミュレーション
iDeCoの一時金受取額と加入年数別に、課税される金額の目安を整理します。| 加入年数 | 退職所得控除額 | 受取額500万円の課税分 | 受取額800万円の課税分 |
|---|---|---|---|
| 10年 | 400万円 | 50万円×1/2=25万円 | 200万円×1/2=100万円 |
| 20年 | 800万円 | 0円 | 0円 |
| 25年 | 1150万円 | 0円 | 0円 |
| 30年 | 1500万円 | 0円 | 0円 |
iDeCoを受け取れる年齢
iDeCoは60歳以降に受け取れますが、具体的な受け取り開始可能年齢は加入期間によって決まります。| iDeCo通算加入期間 | 受取可能開始年齢 |
|---|---|
| 10年以上 | 60歳 |
| 8年以上10年未満 | 61歳 |
| 6年以上8年未満 | 62歳 |
| 4年以上6年未満 | 63歳 |
| 2年以上4年未満 | 64歳 |
| 1か月以上2年未満 | 65歳 |
年収400万円台のiDeCoの受け取りシナリオ別の考え方
シナリオ1:会社の退職金が少ない・ない場合
退職金がない会社(中小企業・スタートアップ等)に勤めている場合は、iDeCoの一時金受取で退職所得控除をフルに使えます。加入20年以上で受取額が800万円以内であれば、税金がほぼゼロになる可能性が高いです。 推奨選択:一時金受取(または一時金+年金の併用)シナリオ2:会社の退職金が多い場合
大企業の会社員で退職金が1000万円を超える場合、退職所得控除の大部分を会社退職金で使ってしまいます。iDeCoを一時金で受け取るタイミングを退職から5年以上ずらすことで、控除の二重使用ができます。 推奨選択:退職後5年以上後に一時金受取、もしくは年金受取で公的年金等控除を活用シナリオ3:60代以降の収入が少ない場合
60代以降に給与収入がなく、公的年金と少額のiDeCoのみが収入源の場合、年金受取を選択することで公的年金等控除の範囲内に収められることがあります。iDeCo受け取り後の資金の使い方
受け取った資産をどう活用するかも、入金力の観点では重要です。一時金を受け取った後の資金活用
一時金で大きな金額を受け取った場合、使途を事前に決めておくことが重要です。 活用例- 老後の生活費として定期預金・個人向け国債等の安全資産で管理する
- 住宅のリフォーム・修繕費として確保する
- 医療・介護費の備えとして手元に置く
- 一部を新NISAに移して引き続き運用する(年間360万円上限内)
年金受取を選んだ場合の生活設計
年金形式で受け取る場合、毎年の受取額を把握した上で生活費のベースを設計します。国民年金・厚生年金の受取額と合わせて「月々いくら受け取れるか」を明確にすることで、老後の家計計画が立てやすくなります。iDeCo受け取り手続きの流れ
受け取り開始の手続き
- 60歳になる6〜9か月前:加入している金融機関から「裁定請求書」が届く
- 書類を記入して返送:受け取り方法(一時金・年金・併用)を選択
- 金融機関が審査・手続き:通常2〜3か月程度かかる
- 指定口座に振り込み
受け取り前にやっておくこと
- 会社の退職金の金額と受取時期を確認する
- 5年ルールへの該当有無を確認する
- 公的年金(国民年金・厚生年金)の見込み受取額を確認する(ねんきん定期便等)
- 税務上のシミュレーションを行う(税理士・FPへの相談も有効)
よくある疑問
Q. iDeCoは60歳になったら必ず受け取らなければいけませんか?
必須ではありません。60歳以降も75歳まで積立・運用を続けることができます(60〜65歳の間は一定条件を満たすことで積立継続も可能)。受け取りを遅らせることで運用益を増やすことができます。Q. iDeCoを受け取ると確定申告は必要ですか?
一時金受取の場合、源泉徴収されるため通常は確定申告不要です。ただし他の所得との合算が必要な場合や、医療費控除等がある場合は確定申告を行うことで税金が戻る場合があります。年金受取の場合も、一定額を超えると確定申告が必要になることがあります。Q. iDeCoの受け取り方は途中で変更できますか?
一度選択した受け取り方は変更できません。一時金を選択した後は年金に変えることができないため、事前に十分に検討してから選択することが重要です。まとめ
iDeCoの受け取り方について整理します。- 受け取り方は3種類:一時金(退職所得)・年金(雑所得)・併用がある
- 一時金は退職所得控除が大きい:加入20年以上なら控除800万円以上で税ゼロになりやすい
- 会社退職金との5年ルールに注意:5年以内に両方受け取ると控除が制限される
- 受け取り方は変更不可:慎重に選択する必要がある
- 事前に公的年金・退職金との合算をシミュレーションする:損しないためには受取前の検討が重要
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の受け取り方・行動を推奨するものではありません。iDeCoの受け取り方・税制は法改正により変更されることがあります。個別の受け取り計画については税理士・FP・加入金融機関にご相談ください。
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よくある質問
iDeCoは60歳になったら必ず受け取らなければいけませんか?
必須ではありません。60歳以降も75歳まで積立・運用を続けることができます。受け取りを遅らせることで運用益を増やすことができます。iDeCoを受け取ると確定申告は必要ですか?
一時金受取の場合、源泉徴収されるため通常は確定申告不要です。ただし他の所得との合算や医療費控除等がある場合は確定申告で税金が戻る場合があります。iDeCoの受け取り方は途中で変更できますか?
一度選択した受け取り方は変更できません。一時金を選択した後は年金に変えることができないため、事前に十分に検討してから選択することが重要です。会社の退職金とiDeCoを同じ年に受け取ってもいいですか?
同じ年に受け取ること自体は可能ですが、退職所得控除が合算されるため控除の恩恵が減ります。また5年ルールにより、iDeCo一時金受取後5年以内の退職金受取は控除が制限されます。タイミングを調整することで節税できる場合があります。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の受け取り方・行動を推奨するものではありません。iDeCoの受け取り方・税制は法改正により変更されることがあります。個別の受け取り計画については税理士・FP・加入金融機関にご相談ください。

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